命の種子

本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

 

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.

Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.

PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION

 

 

PL向けあらすじ

 探索者の住む町では近頃、謎の連続変死事件が昼夜ニュースを賑わせている。人気のない夜道を通った被害者達の身に何が起きたかは分からない。しかし事件と同時期、「樹木人間」と銘打たれる奇妙な化け物が目撃されたという噂がネットで話題になった事から、一部の人々は実しやかに囁いた。これは土地開発によって住む場所を奪われた、木々の怨嗟による祟りなのだと。そんな中、探索者が遭遇したのは……。

 

 

シナリオ傾向・ハンドアウト等

舞台:現代日本 

推奨人数:1人向けシナリオ

シナリオ傾向:シティ

想定時間:ボイスオンセで3時間前後

推奨技能:目星、図書館

準推奨技能:特になし

 

HO:一人暮らしの探索者が好ましい。

   奇妙な事件にも積極的に介入出来る人間(オカルト話に関心がある、

   自身に直接関与しない事件でも解決の為に行動する正義感や行動力がある等)

 

 

本シナリオはオリジナルのクリーチャーが登場します。
加えて、人外とのふれあいを楽しむハートフル(SAN値減少/死亡あり)ストーリーとなっております。
グロテスクな人外とキャッキャウフフしたいPLさん、現実離れしたクリーチャーとも仲良くできるPCさんに遊んでいただけますようお願い申し上げます。

 

 

 

 

――――――――これより下はKP向け情報となります――――――――

目次

KP向けあらすじ

シナリオの大まかな流れ

シナリオ背景

主要NPC

 

シナリオ本文

1.導入

2.樹木人間との接触

3.鶴巻荘

4.日下の住居

5.緑の男の対処

6.公園墓地

7.エンディング

 

あとがき

 

 

 

NPCの詳細ステータス、地図などの提示資料などについては、別途「資料」としてまとめてあります。シナリオを回す際には此方もご参照ください。命の種子:資料ページへ

 

 

 

KP向けあらすじ

 一人の魔術師が病によって自らの死に直面し、生き延びる為に魔術を用いて自身の信奉する植物の神である「緑の男」に頼る事にした。魔術師は緑の男を招来する準備をし、同時に神への供物として膨大な生命エネルギーを持つ「樹木人間」を生み出し、生贄としてのエネルギーを高める為に自らの手で育て始める。

 しかし育てる内に自らの生み出した樹木人間に情が湧いてしまった魔術師は、最終的にそれを殺して自らが生きながらえるよりも、死を受け入れる決断に至った。魔術師は延命の儀式を取り止め、準備していた緑の男の種子を処分し、樹木人間を自由に生きて行ける様にと外へ逃がし、間もなく病死する。

 しかし一度呼び出された緑の男の種子は処分された後も生き延びており、魔術師の死後、人知れず発芽し本来の姿を取り戻してしまう。信奉者の望みを受ける事もなく、贄も足りない緑の男は夜な夜な町を彷徨い、人を襲ってはその生命力を吸収し力を増している。一方で樹木人間は、人間の前に姿を現す事も出来ず、緑少ない都市で行き場を無くし、人間と緑の男から逃げながら徐々に衰弱している。

 樹木人間との遭遇からこの事件の裏にある魔術的背景の一端に触れた探索者が緑の男の存在を突き止め、町の平和を脅かすこの神を退散させる事がシナリオの目的となる。

 

 

 

シナリオの大まかな流れ

大まかな目的:「緑の男」の正体を突き止め、破壊する。

  

●導入    樹木人間と遭遇、保護する

 

●紙     樹木人間の所持している紙から花屋「鶴巻荘」の存在を知る

 

●聞き込み  近隣住人から日下が公園墓地に埋葬された事、トピアリーの存在を知る

 

●鶴巻荘   裏口から店主である日下の自宅に侵入、魔術的な背景を知る

 

●公園墓地  夜に訪れる事で最終決戦となる。緑の男を撃破すればシナリオクリア。

 

※人外の姿をした「樹木人間」と接触、保護する事や、情報収集の為に故人の家での家探しをする事が必須となるシナリオです。常識の範囲を超えた異常な状況に積極的に介入出来る探索者でなければ、進行が困難となってしまうやや特殊なシナリオです。

 そういった状況に積極的に関与出来る探索者、人外NPCと触れ合いたいPLさん向けのシナリオとなっておりますので、ご了承ください。

 

 

     

シナリオ背景

 元々魔術の知識を持ち、魔術師として暗躍し巨額の富を得て資産家となった日下 春臣(くさか はるおみ)は、冒涜的な世界から足を洗って一介の花屋として穏やかな老後を送っていた。しかし年老いて病魔に侵され、死の恐怖を間近に感じ取った日下は、長らく埃を被っていた魔術書を再び手に取り、邪神の力によって自らの命を永らえる事を考える。その方法とは、豊穣の神である「緑の男」を招来し、それに生贄を捧げて願う事で、引き換えに自らの命を延ばす事であった。日下は「緑の男」を招来する為の依り代として、公園墓地に人の形を模したトピアリーを用意して儀式の準備を進めた。同時に、豊富な生命エネルギーを持つ生贄として人造生物を魔術によって造り出す。

 植物を元にして作られたその「樹木人間」は水と日光によって成長し、通常の生物よりも多大なエネルギーを蓄えた。しかし生来植物をこよなく愛する男であった日下は、育てる内に生贄である「樹木人間」に愛着が湧いてしまい、最終的にそれを殺して自身が生き永らえるよりも、自ら死を受け入れる結論に至った。

 

 延命の儀式の計画を取りやめた日下は、用意していた「緑の男」招来の為のトピアリーを処分し、「樹木人間」が十分に成熟する為に用意していた魔力の宿る栄養剤も使う事なく、手塩にかけて育てた「樹木人間」を自分の元から離れて自由に生きる様にと解き放ち、間もなく病死する。

 しかし、一度始めた儀式は完全に取りやめる事が出来ず、日下の死後、「緑の男」はトピアリーを再生して招来されてしまう。制御する召喚者もおらず、十分な生贄も与えられていない「緑の男」は昼間は何の変哲もないトピアリーとしてあるものの、夜になると動き出し、一人歩きしては人を襲い連続変死事件を引き起こした。かたや、野に放たれた「樹木人間」は悪さこそしないものの、その異常な姿と生体から人間社会で生活する事に苦難し、公園に潜んで逃げ隠れしながらも徐々に衰弱している。

 

 探索者はある日公園を通りかかった際に、異形の姿の「樹木人間」を発見する事となる。外見こそ化物であるものの、日下の愛情を受けて育った「樹木人間」は人間に対して友好的であり、交流する事で背後にある日下の存在や「緑の男」に儀式の事実が明らかになる。

 情報を辿り、連続変死事件の原因を突き止め、「緑の男」を退散させる事がシナリオの目的となる。

 

 

 

主要NPC

日下 春臣(くさか はるおみ) 植物を愛した魔術師

性別:男 年齢:68 職業:花屋

STR9 CON8 POW16 DEX8 APP9 SIZ14 INT12 EDU21 

 

※シナリオ開始時点死亡

 かつて邪神信仰により様々な魔術を得た魔術師。壮年になりおぞましい魔術の世界から足を洗い、元々情熱を傾けていた植物と生きる生活を選び花屋「鶴巻荘」を開店。以降一人で店を営む平和な暮らしを送っていた。

 しかし老齢になって病に罹り余命宣告を受けた事から、生き永らえる為に再び魔術に手を出し、緑の男を招来して病から逃れ生き延びようとした。その為の贄として、植物から樹木人間を作り出し育てるも、共に過ごす内に樹木人間に愛情を抱いてしまい、最後には樹木人間を贄として犠牲にする事を止め、外へ逃がすと共に自身は病で亡くなった。

 

 

 

 

樹木人間 生贄の人造植物

 

 シナリオ中、世話をする事で

段階的に状態が回復しステータスが上昇

 

目撃による【SANチェック】0/1D6

(状態問わず最初に遭遇した際の一度のみ)

 

 

●第一段階(初期)

STR8 CON25 SIZ10 INT17 POW24 DEX7

HP:18 MP:24 DB:なし

装甲:なし。毎ラウンド5ポイントの再生

蔦による組みつき  40%  通常の組みつきと同等の効果

触手        30%  ダメージ1D4+DB

 

●第二段階(お世話行動1回)

STR8 CON35 SIZ14 INT17 POW24 DEX9

HP:25 MP:24 DB:なし

装甲:なし。毎ラウンド5ポイントの再生

蔦による組みつき  50%  通常の組みつきと同等の効果

触手        30%  ダメージ1D4+DB

 

●第三段階(お世話行動2回)

STR14 CON35 SIZ16 INT17 POW24 DEX12

HP:26 MP:24 DB:+1D4

装甲:なし。毎ラウンド5ポイントの再生

蔦による組みつき  50%  通常の組みつきと同等の効果

触手        45%  ダメージ1D4+DB

 

●完全体(肥料使用)

STR25 CON35 SIZ21 INT17 POW24 DEX22

HP:28 MP:24 DB:+2D6

装甲:4ポイントの樹木の皮。毎ラウンド6ポイントの再生

蔦による組みつき  70%  通常の組みつきと同等の効果

吸収(組みつき派生)100%   ダメージ1D3 3ポイントの耐久力を回復

触手        50%  ダメージ1D6+DB

蔦による締め付け  100%    ダメージ1D4+DB

 

  日下が魔術によって生み出した人工生命体。植物と人間をベースにしており、上半身は人間の姿をしているが、下半身は太い木の根が絡み合って蛇の様な形をしている。長い髪で顔にあたる部分は隠れているが、唯一露わになる片目がある位置には巨大な花の蕾がついている。完全体まで成長すると花開く。

 

 

 

 

◆敵性NPC

 

緑の男 闊歩するトピアリー マレモンp.222

 

 植物の神格である緑の男が日下が整えた招来の為のトピアリーに宿った姿。日中は公園墓地の動かぬトピアリーとしてそこにあるが、夜になると自立して動き出し、町を徘徊して人間を襲い生命吸収によって殺害している。

 通常の方法で人間が撃破する事は不可能に等しいが、枯葉剤や除草剤の影響を強く受ける為、魔術的な力のこもったそれらであれば対処が可能。

 

 

 

 

 

シナリオ本文


シナリオ本文の読み方

 

 

・地の文…KP向けの状況説明および処理に関する記述など、シナリオ本文のメイン部分です。適宜目を通しながら進行してください。

この背景色で括られている箇所はPLには非公開のKP向け説明です。
KPが状況を把握する為の情報なので、基本的にPL及び探索者には公開しません。

 

・読み上げ文…情景描写の文章、もしくは文章媒体での情報の内容です。この文章はそのままPLへ向けて読み上げ・提示を行って構いません。

 

・ダイスロール文…SANチェック及び各技能などの処理です。技能のダイスロールについては、”※強制”の記述がない場合振れる技能の提案の有無などはKPにお任せします。


1.導入

 探索者の暮らす町では最近奇妙な連続殺人事件が連日ニュースを賑わせている。外界の情報を一切断絶した生活でもない限り、その情報は探索者の耳にも届いている。

 

・連続殺人事件の情報

 今月に入ってから、毎日の様に人気のない路地で人が殺される事件が発生している。被害者はサラリーマンから家出少女まで様々で、被害者の数は二桁に上ろうとしている。いずれも事件発生時刻は夜間とみられ、警察は地元住民に夜人気のない場所を出歩かない様にと警告している。

 しかし何より奇妙なのは遺体の状態で、いずれの被害者もミイラの様に枯れ果てた姿で衰弱死していると言う。

 

 この事件は町で大きな話題を呼んでおり、ネットの掲示板などではこれを「化物の仕業だ」と騒ぎ立てる書き込みも少なくない。これについて詳しく調べるのであれば、【図書館orオカルト】で以下の情報が手に入る。

 

・ネットの噂「怪異!植物男の目撃情報」

 今月に入ってから、「植物男」なる化物の目撃情報が都市伝説的に広まり、ネットで話題になっている。蔦の絡み合った不気味な植物の塊が人間の形を作っており、それが夜な夜な人気のない場所を彷徨っては出会った人間を捕らえて養分にしてしまうと言う。

 一説には、最近付近の自然公園が大幅な区画整理で縮小工事されており、そこに自生していた植物たちの怨嗟から生まれた怪物だとか。

 

 この様な噂が行き交う中、不運にも探索者はある日、夜遅くに外を出歩く事を余儀なくされる。仕事の帰りが遅くなるでも、コンビニに買い物に行くでも、理由は自由に定めて良い。探索者が家へ向かう帰り道には、自然公園の横を通る事となる。

 

 広い面積を誇っていた自然公園は、区画整理の為今は工事用の殺風景な仕切りに覆われている。残された敷地には申し訳程度の茂みや木々が残るばかりだ。

 植物たちの怨嗟から生まれた化物。

 ふとそんな噂を思い出すと、目の前の見慣れた公園の草木が闇に溶けているのが言いようもなく不気味に見えた。ただ家に帰るだけの道が、どこか普段と違って感じられる。

 貴方がそれを足早に通り過ぎようとしたその時だった。

 がさり。

 茂みの方から、大きな音がする。

 その音に思わず足を止めて振り向くと、茂みの中から貴方を見つめる「なにか」が居た。それは樹皮と見紛う様な褐色の肌に、黒い艶やかな長い髪を持ち、そこだけを見れば人間の様にも見えた。しかし、下半身のあるべき場所に不気味に蠢く太い何本もの木の根と、本来なら目がある筈の顔の正面に大きく実る一輪の花のつぼみが、それが明らかに異常な生物である事を示していた。

 

【SANチェック】0/1D6

 

 樹木人間はそれ以上探索者に近づいてきたり、襲ったりする様子は見せない。探索者が逃げ出したりせずに様子を見るのであれば、どこか元気がなく衰弱した様子である事を伝える。また、逃走してしまった場合でもその後樹木人間は自然公園の茂みから動く事はないが、ここで積極的に行動を起こす探索者でなければシナリオ進行は困難である。必要であれば樹木人間の方から助けを求める様な素振りを見せる等、KP側から進行のきっかけを作り誘導する事。

 樹木人間は言葉を発する事は出来ないものの、人の言葉を理解する知能がある為意思疎通が可能。探索者が何かコミュニケーションを取る事を試みるのであれば、樹木人間は仕草でそれに応える。

 

 

 

2.樹木人間との接触

 探索者がある程度樹木人間に意識を向けた所で、【目星】で以下の情報を提示する。

 

【目星】樹木人間が胸の前でしっかりと握りしめている手のひらの中に、何かが握られている事に気付く

 

 手の中に握られているのは「植物の育て方」の紙である。これは日下が樹木人間に持たせた物で、「信頼できる人間にだけ見せるように」と言い聞かせてある。これは樹木人間が人間社会で生きていく困難を予期した日下が、異形の姿にも恐れず受け入れてくれる人間の手によって樹木人間が暮らして行ける事を願って持たせた贈り物である。

 樹木人間は頑なにそれを手に握りしめており、無理やり奪おうとした場合は手を樹木の様に硬化させて抵抗する。交渉系の技能で敵意がない事を伝えたり、樹木人間に対して好意的なRPを行った場合、自ら手を開いて紙を探索者に渡す。

 

・「植物の育て方」の紙

『~上手なお花の育て方~

水と日光をたっぷりあげてください。

肥料はなくても元気に育ちますが、栄養のあるものを与えるとより大きく成長します。

じめじめした場所や、寒い場所は苦手です。吸収が早く、育てやすい種類です。

葉が痛んだりした場合には、カルシウム分があると再生に役立ちます。

 

鶴巻荘』

 

【アイデア】「鶴巻荘」が近所の花屋の店名である事を思い出す

 

 紙の内容は樹木人間の成長方法を示しており、以下のお世話行動を取るごとに樹木人間は1段階ずつ成長段階が進行する。

 

・水を与える

・日光を浴びせる

・カルシウムを摂取させる

・その他の肥料を与える

 

 成長段階毎に下半身の木の根が成長し大きくなる他、血色がよくなる・動きが活発になる等元気を取り戻してゆく。

 今後の目的は、紙に書かれた店名を元に鶴巻荘を訪れ、情報を集める事となる。その間、樹木人間をどう扱うかは探索者の自由といて良い。特に何も言われなければそのまま自然公園の茂みに潜んでいるが、狭く日当たりも悪い場所の為環境は良くない。もしも探索者が樹木人間を保護する試みをする場合、【アイデア】等で樹木人間は下半身さえ上手く隠す事が出来れば遠目に夜道で見る分には人らしいシルエットに見えるだろう、等と助言を加えて良い。また、樹木人間は下半身の木の根をある程度自由に変形させる事が可能で、シルエットや動きを人間の脚に近づけて見せる事が出来る。

 

 

 

 

3.鶴巻荘

 鶴巻荘は探索者の住む町にある花屋である。もしもPLが希望するのであれば、探索者が鶴巻荘を利用した事がある設定としても良い。その場合、本項目で後述する「近隣住人からの情報」について、探索者自身が把握している事として構わない。ただしその場合でも、トピアリーに関する情報は印象付ける為に近隣住人から別途情報公開する事が望ましい。

 店は賑やかな商店街から少し離れた通りにぽつんと建っている。正面のガラス戸は締め切られており、「閉店のお知らせ」という紙が貼られている。

 

・閉店のお知らせ

『〇月×日 店主 日下春臣が逝去いたしましたので、

 閉店させていただきます。

 生前のご愛顧に深く感謝いたします。』

 

 張り紙の日付は先月末頃となっている。

 探索者が張り紙を見ていると、「ああ、残念よね」と近所に住む主婦が声を掛けて来る。適宜必要な情報をこのNPCから提示する事。主な情報は以下の通り。

 

・鶴巻荘は日下という老人が一人で経営していた

・かなりの資産家で、店の裏手のスペースは日下の自宅になっている

・植物が好きで、よく自分でも植物を育てては裏口から大きな鉢を抱えて出入りしていた

・町はずれの公園墓地は日下の所有物であり、日下自身もそこへ埋葬された

・多くの花に囲まれ、安らかな死に顔だった

・納棺時にも植物の栄養剤か何かの小瓶を胸に抱いていて、本当に植物が好きな人だった

・亡くなった際に親戚が来て閉店などの手続きをしたものの、元々交流も薄かったらしく今はまだ店内も住居も放置された状態で帰ってしまっているらしい

 

 一通りの話をした所で、主婦は「そういえば」ともう一点内容を付け加える。

 

「一つ変な話があるのよねえ。日下さんのお墓の場所に、トピアリーっていうの?ほら、植物で出来たオブジェみたいなの。人型の大きいのがあってね。亡くなる直前に、日下さんが処分したらしいんだけど…。気が付いたら元の場所にまたあったの。最近変な噂あるじゃない?ほら、植物人間がどうとかって。なんだか不気味よねえ」

 

 話を終えると主婦は立ち去ってしまう。他には特に人の姿も見られない。

 鶴巻荘は正面玄関こそ閉まっているものの、裏手に回ってみると居住スペースの裏口は半開きになっていることが分かる。鍵は当然掛かっておらず、自由に出入りする事が出来る。探索者が積極的な住居侵入に踏み切れない・思いつかない場合は、【アイデア】などを振らせて適宜裏口への誘導を示して良い。

 

 

 

4.日下の住居

 鶴巻荘の裏のスペースが日下の住居となっている。リビング、キッチン、風呂など生活に必要な間取りが一通り整っているが、どこも特別荷物が整理されたりした様子はなく、生前の家主の生活感を匂わせたままになっている。

 屋内を見て回ると日下の自室と思しき部屋を発見する。その他の部屋には特に情報はない。

 

◆日下の自室

 簡素で小さな部屋。本棚と机、ベッド、クローゼットがある他には目立った家具もない。その代わり、窓際には鉢に入った様々な観葉植物がずらりと並んでいる。

 

●観葉植物

 小さな鉢に入ったサボテンから、床に置かれた中くらいの鉢植えまで、様々な植物が並んでいる。家主の死後世話がなされていないのか、土は乾き切って葉は黄色く変色してしまっている。

 

【目星】一つの鉢が空になっており、中に箱が入っている

 

箱には鍵が掛かっており、シャクナゲの鍵で開錠する事が出来る。中には霧吹き型のボトルが入っている。

  

 

・霧吹き型のボトル

 「枯葉剤」と書かれている。中には黄金色の液体が入っているが、ほのかに光を帯びており市販の枯葉剤とは程遠い印象を受ける。

 これは魔術的な力の籠った枯葉剤であり、植物に吹きかけた場合、みるみる内に萎れて数秒で枯れてしまう。緑の男への物理的な対抗策となる。樹木人間及び緑の男に対して噴霧した場合、以下のステータスで武器として使用出来る。

 

噴霧 命中率80% ダメージ1D12 このダメージは毎ラウンドの回復で回復できない 

 

 

●クローゼット

 日下のものと思われる男性物の衣服が仕舞われている。きちんと整頓されている。

 

【目星】奥の壁に鍵束が掛けられている

 

 

・鍵束

 複数の鍵が纏められた鍵束。鍵にはそれぞれ花の模様が刻まれている。【生物学】、または【知識1/2】で花の種類及び花言葉が分かる他、本棚の『植物図鑑』を用いた場合も同様の情報が分かる。また、もしもどうしても花の種類と正解の鍵(ウツギ)が結びつかない場合、樹木人間に鍵を見せれば正解の鍵がどれであるか示させても良い。鍵の種類は以下の通り。

 

・桃色の花の鍵(シャクナゲ…危険)

・赤色の花の鍵(ポインセチア…祝福)

・白色の花の鍵(ウツギ…秘密)

・黄色の花の鍵(カタバミ…喜び)

・紫色の花の鍵(アヤメ…メッセージ)

 

 

 

●ベッド

 一人用のベッドが部屋の片隅にひっそりと収まっている。

 

 

●本棚

 沢山の本がきっちりと並んでいる。一見して植物に関する本が殆どであると分かる。随分専門的な『植物図鑑』等もある事を技能なしで明示する事。植物図鑑には様々な種類の植物の見た目と名前、花言葉が網羅されている。

 

【図書館】周囲の本と雰囲気の違う分厚い洋書を一冊見つける

 

・『Mystery of Oberon』

 植物を模した装飾が施された表紙の古びた洋書。鍵が取り付けられており、開く事が出来ない。ウツギの鍵を使う事で開錠できる。

 中の1ページに日本語で書かれたメモが挟まっている。【英語】に成功すれば挟まっているページの和訳だと分かる。

 メモの内容は以下の通り。

 

『 緑の男は天上に住む植物の神である。植物の豊富な生命をつかさどる神であり、人々の願いに応え、豊作や多産の恵みを与える。時には、その生命の力を持ってして常人には叶え難い奇跡を与える事さえある。その慈悲深さから、古くから多くの土地にて人々に崇拝されてきた。

 緑の男に願いを届けるには、緑の男を現世へと招来せねばならない。その為には現世での神の身体となる依り代が必要である。これは植物を用いた造形である必要がある。儀式を行い、植物の種に緑の男の力を宿し、その種を用意した造形へ植え付ける事で依り代を神の身体とする。神は用意した依り代を身体として自在に動かし、現世へ顕現する。

 招来された神に願いを聞き届けてもらう為には、生贄を捧げる必要がある。生贄は人間でも動物でも良いが、より大きな生命エネルギーを備えたものが良い。贄を捧げて願えば、神は信奉者へと耳を傾けるだろう。空腹の内は、神はあらゆる者の言葉を聞き入れない。』

 

 メモを読んだ場合、探索者は「緑の男の招来/退散」の呪文を獲得する。招来の手順には魔術的な力の籠った種子が必要な為探索者が実行する事は出来ないが、退散に関しては対象を視界に収めた状態で3ラウンド掛かる呪文詠唱を完了させるのみで良い。

 

 

●机

 引き出しを備えたシンプルな作業机。机の上には店の仕事についての印刷物や手書きのメモなどが散らばっている。机上に【目星】が振れる他、引き出しを調べる事も出来る。

 

【目星】机上の紙の中から何かのレシピの様なものを見つける

 

・肥料のレシピ

 手書きのメモは何かの作り方を示している。植物の種子、金属、その他探索者達が聞いた事もないような材料を使い、魔術的な力で特別な『肥料』を作る方法が書かれている事がわかる。
 資料の挿絵には、青白く輝く液体が小瓶に入っている様子が描かれている。

 

 

 また、引き出しには1冊の日記帳が仕舞われている。

 

・日記帳

(11週間前)

 医者に通告された病は、到底治る事のない難病だった。余命は数か月だと申告された。これまでずっと深淵から離れて平穏に暮らしてきて、この生活に満足していた。来るべき時は受け入れるつもりだったが、今になって直面すると、死ぬのが恐ろしい。こんな老いぼれが、ばかげた話だ。

 

(10週間前)

もう二度と手を出す事もないと思っていたが、数十年ぶりに、秘密の鍵を解いて、あの本を開いた。不確かな記憶を掘り返してページを手繰れば、望んでいたものが記してあった。私の愛する緑の神。今一度、彼の神に願ってみよう。まずは、神の降り立つ場所と、贄の用意だ。ちょうど良い魔術を見つけたので、贄の用意には困らないだろう。

 

(9週間前)

初めて手を出す術ではあったが、概ね上手くいったようだ。一番の気に入りの種子を元に作った。発芽し、順調に成長している。水と日光だけで育つが、十分な栄養を蓄えさせたら本来の力を呼び覚ます必要がある。そのための『肥料』も、そろそろ準備しよう。

 

(8週間前) 

私の身体は日ごと弱っていくが、種子は徐々に大きく成長している。この苦痛も、恐怖も、あと少しの辛抱だ。種子が実れば、この生命を我が物にできる。私は死なない。

 

(7週間前)

思いのほか人の形を色濃く映した種子は、相当の知性があるようだ。いざという時の為に用意しておいた枯葉剤も必要なさそうだ。危険なものは鉢の小箱に仕舞っておこう。それにしても、知性だけでなく感性までも備えているのか。家族などいた事もないが、まるで幼い息子のようだ。水を与えると喜んで寄ってくる。

 

 (6週間前)

身体がだるい。起き上がる事も徐々に困難になっている。しかし、種子は順調に成長している。花を咲かせるまでの辛抱だ、それさえ叶えば。

死にたくない。私は、死にたくないのだ。

 

(5週間前)

今日は一際調子が悪い。咳が止まらない。こうしてペンを持つのも億劫だ。

あの子が、心配して寄ってきた。人とは異なる堅い蔦の感触だが、頭を撫でられるなどという経験は久方ぶりだ。忘れてしまっていた温かさを感じる。

あの子が居なければ、私はとうに力尽きてしまっていただろう。

 

私は、本当に、あの子を犠牲にしてまで生きたいのだろうか。

 

 

(4週間前)

決断した。

私はあの子を犠牲にしてまで、生きたいと思えなくなった。

あの子の姿を見ていると、その未来の方が、老いさらばえた私の余命よりも価値があるように思える。化け物にこのような情を抱く私は、やはり異常なのだろうか。

打ち立てた神の形代は処分した。まだ招来は済んでいないはずだ、これでもう問題ないだろう。

あの子は戦う事もなければ、贄としての力も必要ない。不要になった『肥料』は私が墓場まで持っていくつもりだ。

このような事を書き綴ったのは何の気まぐれだろうか。私は、私の持ち得たすべてが、忘れ去られて風化するのが惜しいのかもしれない。

願わくば、この手記が誰か奇怪な縁の持ち主へと渡り、あの子が人間の社会の深淵に根付く礎となるよう。』

 

 

 

5.緑の男の対処

 日下邸で必要な情報を得た後は、公園墓地に行き緑の男と対峙、対処する事がシナリオの目的となる。緑の男への対抗手段は三通り用意されている。

 

 

1.退散の呪文を唱える

 最もスタンダードな方法。規定のラウンド数耐えて呪文を唱える事で、緑の男をこの世界から退散させる。補助として樹木人間による護衛が推奨される。

 

2.魔力の籠った枯葉剤で倒す

 次点の物理的な攻略方法。枯葉剤は緑の男にも十分なダメージを与える為、戦闘による撃破を試みる事が出来る。ただし生身の人間一人で立ち向かえる相手ではないので、此方も樹木人間による護衛が推奨される。

 

3.上記以外の物理的手段で倒す

 最もイレギュラーな方法。理論上は不可能ではないが、樹木人間のステータスは緑の男よりも弱く設定されており、また魔力の籠った枯葉剤以外の攻撃ダメージは毎ラウンド再生されてしまうため現実的ではない。

 

 

 いずれの場合も夜間に公園墓地に行く事が必要となる。昼間に公園墓地に行っても動かぬトピアリーがあるだけであり、緑の男が降りていない状態では退散の呪文も効果を示さない。トピアリーに火を放つなどの行動を取ろうとした場合は周囲の人間に止められ、最悪通報されるだろう。また、昼間にトピアリーを破壊できたとしてもいつの間にか元に戻ってしまう。

 KPはPLが日下邸での情報収集から上記のいずれかの方法を想定でき、夜間に公園墓地へ向かえる様誘導を掛けると良い。

 

 

 

6.公園墓地

 緑豊かな広い敷地を持つ霊園。奥の墓地スペースに墓石が立ち並んでいる以外は、まさに公園の様な場所。日中には散歩をする近隣住民の姿も見られる。

 日中に訪れた場合は、近隣住民への聞き込みで随時妥当な情報を探索者へ提示して良い。また、日中にトピアリーに物理的な破壊を試みる場合は、付近の人間に制止される。

 

◆墓地スペース

 墓石が立ち並ぶ墓地としての領域。ただし個々の墓石のスペースは広くとってあり、そこにも綺麗に整えられた生垣などが見られる。

 一角には日下の墓石がある。日下と面識のある近隣住民に聞き込みを行えば場所を教えてもらえる他、【目星】で墓石の傍に立つ大きな人型のトピアリーがあるのを発見できる。

 

 ●日下の墓

  他と大差ない墓石が佇む日下春臣の墓。正面には人型の大きなトピアリーがある。

 

【目星】墓石付近の地面が青白くほんのり光っている事に気付く

 

 遺骨と共に収められた「肥料」が地面の下に染み込んでおり、地表に現れている。樹木人間がその場にいる場合、探索者から与える指示があるか、緑の男との戦闘になると危機を感じた樹木人間が自ら根を張り肥料を吸収する。肥料を吸収した樹木人間は1段階成長段階が上昇する。2段階目まで成長済の場合、最終段階へ成長する。

 

 

 探索者が日下の墓で肥料に気付いた所で、イベントが発生する。

 

 ふと、風のそよめきだけではない、木々の軋む音が聞こえた。

 ぎしぎしという音はすぐ前方から聞こえてくる。気づけば、目の前の地面に落ちるささやかな月明かりが、先程よりも濃く影に閉ざされていた。その影を落としている張本人がまさに目と鼻の先にいる事を感じ取って、貴方は咄嗟に顔を上げる。

 そこには、樹木の絡み合う巨体が首をもたげて、貴方を見下ろしていた。

 異様に強靭な太い木の幹が歪にうねり幾重にも絡み合い手足の様なものを形成している。その硬質な手が、ざわめく葉の一つ一つを揺らしながら、不気味に貴方の方へと伸ばされようとしている。

 

緑の男目撃【SANチェック】1/1D6

 

 そのまま緑の男との戦闘に突入する。このタイミングで肥料に関してPLが気付くのであれば、戦闘開始前に指示を受けた樹木人間が肥料を吸収し、成長する。指示がなかった場合、1ターンの行動を消費して肥料を吸収する。展開によっては、最初のターンではなくある程度戦闘が持続して樹木人間が消耗した後に肥料の吸収をイベント的に発生させると、展開的に盛り上がるかもしれない。その場合は肥料吸収の成長に伴い樹木人間の受けたダメージを回復させるなど、柔軟に対応して良い。本シナリオはあくまで人外とのストーリー展開を楽しむ事が主目的であり、シビアな戦闘にこだわる必要はない。

 

 

<樹木人間最終段階への成長時の描写例>

 樹木人間が下半身の木の根を鋭く尖らせ、地面に突き立てる。それらは力強く地面へと潜り、何かを吸い上げている様だった。程なくして変化が起きる。

 異形の喉元から、獣の呻きとも人の泣き声ともつかない音が響き渡る。背を丸めたその体が、ぼこりぼこりと膨張する様に、みるみる内に「成長」してゆく。下半身の木の根が太く、大きく膨らみ、それに持ちあげられる様に体高が増し、細身の人間を模していたその体は優に2mを超し、大きく背を逸らせて雄たけびを上げた。

 その目にあたる部分にある重たい蕾が、月明かりに照らされて花開く。そこには瞳こそないものの、貴方に向けられるまなざしがそれまでと何ら変わりない事を貴方は確信する。力を得た異形はその蔓をしならせて、蠢くトピアリーの怪物の前に立ちふさがった。

 

  戦闘によって緑の男を撃退する事が出来ればシナリオクリアとなる。 

 緑の男は樹木人間がいる場合でも、探索者を優先して狙う。ただし、樹木人間は探索者を庇おうと間に割って入るため、回避ロールに失敗した場合でも樹木人間がダメージを肩代わりする。回避・樹木人間による護衛によって3ラウンド耐え、退散の呪文を唱える切ることが基本的な攻略法となる。

 撃退時に取った方法ごとの処理は以下の通り。戦闘終了時のエンディング処理は次項を参照。

 

 

1.退散の呪文を唱える

 3ラウンド掛けて退散の呪文を唱え終わった場合、即座に戦闘は終了となる。

 

 呪文を唱え終わると同時に、トピアリーの怪物の動きがぴたりと止まった。薙ぎ払われようとしていた枝葉が勢いをなくし、小刻みに震え出す。それは生き物の痙攣の様でもあり、風に揺れるただの草葉の様でもあった。

 暫くして、その根本から天辺までが大きくしなると同時に、大きな地鳴りにも似た低い唸りが響き渡った。それはその巨体に宿った神の最後の悲鳴だったのかもしれない。

 その音を最後に、静寂が広がった。緑の男と呼ばれる神は、元ある場所へ帰った様だ。そこにはただ、静かにたたずむだけのトピアリーが残っているばかりだった。

 

 

 

2.魔術の籠った枯葉剤、またはその他の方法でHPを0にする

  HPを0にして戦闘に勝利した場合、緑の男はその場で消滅する。

 

 大きな悲鳴にも聞こえる唸り、ばきばきと枝が折れる音を響かせながら、巨大なトピアリーが地面へと横倒しになった。それは生き物が事切れる姿にも見えた。倒れた傍から、トピアリーを形作っていた枝葉がみるみる内に枯れ落ち始める。つい数秒前まで青々と茂っていた葉が茶色く色あせ、乾き、力なく萎んでゆく。

 とうとうその巨大な草木の塊はすっかり枯れ果て、目の前で散り散りに砕けて風に吹かれ消え去ってしまった。

 

 

 

7.エンディング

◆GOOD END:緑の男を撃退する

 何らかの方法で緑の男を撃退する事が出来ればGOOD ENDとなる。

 

 トピアリーの怪物を撃退し、そこにはただ静まり返った夜の墓地が佇んでいた。もうそれ以上貴方を脅かすものの姿はどこにも見えなかった。貴方は危機が去った事を感じ、帰路に着くだろう。

 その後、町で起きていた不審死事件はぴたりと後を絶った。それ以上被害者が出る事はなく、徐々にニュースで取り上げられる事も少なくなり、ネットで沸き立っていた樹木人間の噂も聞かれなくなっていった。

 貴方の街には無事、平穏が戻ってきたのだった。

 

 樹木人間が生存している場合、どの様に扱うかはKPとPLで相談して自由に決めて良い。自然に放す、処分するなどの決断をしても、樹木人間は大人しく探索者に従う。水や日光の得られる、人目を避けられる環境を用意出来れば、樹木人間は人間の社会からひっそりと身を隠して生きてゆくだろう。

 PL及び探索者が望むのであれば、樹木人間を探索者に与えても良い。樹木人間は木の根の形状をある程度自由に変えて姿を整える事が可能であり、人間程度のSIZになる事ができる。特徴的な目元と下半身さえカモフラージュ出来れば、ぱっと見を人間の様に見せかける事も不可能ではないだろう。

 ただし、ステータスが非常に強力な為、継続探索者に持たせる場合はよく相談の上で適宜必要であれば調整を行う事。

 

SAN値報酬

生還した:1D8

樹木人間が生存している:1D2

 

 

 

◆BAD END:緑の男を撃退できなかった

 死亡、対処放棄などで緑の男を撃退できなかった場合はバッドエンドとなる。

 

 その後も異常死事件は後を絶たず、信仰を失った豊穣の神は贄を求めて夜な夜な街を彷徨った。十分な生命を喰らったそれがどうなってしまうのか。それを知る者はもう誰も居なかった。

 

 

 


あとがき

 このシナリオは元々笹柄と遊びで回した完全茶番ソロシナリオでした。

 作成してから約2年後、こういう異色系のシナリオもあっても良いかな、と思って公開用に修正しようと思ったのですが…蓋を開けてびっくり。なんと2000字程度しか書かれていなかったのです!

 花屋の中身くらいから全く何も書かれてなかった。公園墓地の事も何も書かれてなかった。一体どうやって回したというのか…回した記憶はあるのに書かれてなかったんですよねえ。

 というわけで公開にあたって後半部分はほぼ一から書き下ろしているのですが、それでも他シナリオに比べると大分内容はあっさりとしていると思います。

 人懐っこい人外萌えのKPさんPLさんに是非遊んでもらえればと思います。よろしくお願いします。

 

 

 


ここまでお読みいただきありがとうございました!

実際にプレイしてくださった方は、よろしければ是非アンケートにご協力ください。

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